デンタルマウスピースの効能

マウスピースと聞くと、どんな様子をイメージしますか。
「スポーツで使うもの?」「ラグビーで使っているのは見たことがあるけれど?」と以前までは、確かに競技用で使用するイメージの強かったマウスピースですが、今注目を浴びているデンタルマウスピースは、これらのスポーツ用とは全くの別物です。
では、なぜこの「デンタルマウスピース」が今注目され始めているのはご紹介していきましょう。

そもそもマウスピースとはプラスチック製、ポリウレタン製の素材で、歯型に合わせてかたどり、歯に力をかけるための適度な固さがあり、柔軟性を合わせもっているので着脱時に負担なく取り外しができるものです。マウスピースは自分の歯型にあっていなければ歯やあごに余計な負担がかかり別の諸症状を引き起こす、または悪化させてしまう可能性もあります。ですから、きちんと自分の歯型にあったものを使う必要があります。

デンタルマウスピースは市販品でも作ることができますが、歯科医院では個々の歯の大きさやあごの形を見た上で作ってくれます。
では、デンタルマウスピースは一体どのような症状に適しているのでしょうか。

寝ている間に起こる歯ぎしり。個人ではなかなか気づかないものですが、歯ぎしりは歯やあごに相当な負担をかけています。歯ぎしりは、上あごと下あごの噛み合わせの時に、相当の強い力が加わった状態です。歯が摩擦を起こすので、歯が削れる、割れてしまう、顎関節症を引き起こしてしまうほか、頭痛や肩こりなどにもつながってしまいます。

歯ぎしりは治療をしてもなかなか食い止めることができないものですが、そのまま放っておくと歯やあごの負担は相当なものです。そこでデンタルマウスピースを就寝時に装着することで、睡眠中の歯ぎしりによる歯やあごの負担を軽減させる効果を期待することができます。

いびきも本人は自覚しづらい症状のひとつでしょう。いびきの原因は肥満のように慢性的なものや、飲酒、疲労などの一時的なもの、花粉症やアレルギーなどの症状によって引き起こされるものなど、さまざまです。原因はいろいろありますが、いびきは寝ているときに舌や喉の周りの筋肉がゆるんで気道が狭くなり、空気の行き来のたびに周囲の粘膜が震えて音が出ている状態です。
デンタルマウスピースを用いることによって、寝ている間のあごの位置を調整して気道がひろがり、喉の空気の通りが良くなることで、いびき・無呼吸が緩和されることが期待できます。

虫歯でもないのに歯が痛いなどの症状がある方は、歯ぎしり、または歯のすり減りからあごや歯に負担をかけてしまい痛みが出ている可能性もあります。歯のすり減りから菌が入って、虫歯の原因になるケースも。就寝時の歯ぎしりによって歯がすり減ってしまう症状がある方には、デンタルマウスピースは有効です。
デンタルマウスピースを着用することで、歯やあごへの負担が軽減されて、すり減りを防止します。しかし、この場合はマウスピースがすり減っていくので定期的な交換が必要になってきます。

口が開かない、口を開けると痛みがある、口を開けると音が鳴る症状の顎関節症。以前までは比較的若い女性に多くみられる症状でしたが、最近は年代、性別を問わないで訴える方が増えてきました。噛み合わせが原因と言われてきたのですが、今現在は、あご周辺の筋肉に過度な緊張、負担がかかることが大きな原因と言われています。
デンタルマウスピースを装着することで、あごや歯にかかる負担を緩和させることができますので、顎関節症の改善にも期待できます。

あごや歯に負担のある睡眠は肩こり、頭痛の原因にもなります。一般的には人間の噛む力の強さは自分の体重程度と言われていますが、無意識下でかかる力は人によって1トン以上になるとも言われています。そのような重量が睡眠時に歯にかかってくるのですから、相当な負担になることは容易に想像がつきます。このような負担から引き起こされるのが肩こりや頭痛といった症状です。
目覚めた時にスッキリしない、疲労感が残っているという方は睡眠時の食いしばり、歯ぎしりの可能性を考えてみてください。その際にデンタルマウスピースを用いることで、歯やあごへの負担軽減になり、頭痛や肩こりなどの症状緩和が期待することができます。


デンタルマウスピースを用いた治療は、近年急速に取り入れられている治療方法のひとつです。その理由は改善が期待できる効能を見ていただければお分かりになると思います。以前までは手術が必要であったり、または画期的な治療がなく、完治が難しかったものが、長時間の使用や、就寝時に装着するだけで改善が見られるという、患者にとっては負担も少なく取り入れやすいことが要因のひとつではないでしょうか。これらの症状にお悩みの方は、試してみる価値は十分にあります。