
デンタルマウスピースは、現代の口腔ケアの一部として多くの人に利用されています。歯列矯正やスポーツ時の口腔保護、歯ぎしりの防止、いびき対策、ホワイトニングなど、さまざまな目的で使用されることから、その用途は非常に広範です。このページでは、デンタルマウスピースの基本的な情報から、どのような時に使うべきか、選び方や費用について詳しく解説していきます。
デンタルマウスピースとは?
デンタルマウスピースとは、口の中に装着する装置で、さまざまな用途に応じた製品があります。一般的には、口腔内の特定の問題を解決するために使用され、矯正治療や防護具として役立ちます。デンタルマウスピースには、市販されている既製品と、歯科医院で患者個々に合わせて作られるオーダーメイド品があります。それぞれのタイプにはメリットとデメリットがあり、選択は使用目的に応じて決まります。歴史的には、スポーツ用マウスピースから始まり、現在では矯正治療や歯ぎしり防止など多岐にわたる用途で進化を遂げています。


デンタルマウスピースの使用用途
歯ぎしり

寝ている間に無意識にしてしまう歯ぎしりの対策として用いられます。歯ぎしりは、上あごと下あごの噛み合わせの時に相当の強い力が加わった状態をキープするという形で、歯やあごに相当な負担をかけています。歯が摩擦を起こすので、歯が削れる、割れてしまう、顎関節症を引き起こしてしまうほか、頭痛や肩こりなどにもつながります。
これらの回避、治療のためにデンタルマウスピースを就寝時に装着します。これにより睡眠中の歯ぎしりによる歯やあごの負担を軽減させる効果を期待することができます。
いびき・無呼吸

いびきや無呼吸の方の改善に対してもデンタルマウスピースはよく用いられます。いびきの原因は肥満のように慢性的なものや、飲酒、疲労などの一時的なもの、花粉症やアレルギーなどの症状によって引き起こされるものなど様々ですが、いびきとは寝ているときに舌や喉の周りの筋肉がゆるんで気道が狭くなり、空気の行き来のたびに周囲の粘膜が震えて音が出ている状態であり、無呼吸とは、寝ているときに舌や喉の周りの筋肉がゆるんで気道が一時的に閉じられて呼吸が止まったような状態になることです。治療という視点からは、いびきと無呼吸は近いところにあります。
就寝時にデンタルマウスピースを用いることによって、寝ている間のあごの位置を調整して気道がひろがり、喉の空気の通りが良くなることで、いびき・無呼吸が緩和されることが期待できます。
歯のすり減り

過度の歯ぎしりや歯に力を入れるスポーツなどの影響によって、虫歯でもないのに歯が痛いなどの症状がある方は、歯のすり減りからあごや歯に負担をかけてしまい痛みが出てしまうことがあります。これらの歯のすり減りにもデンタルマウスピースは有効です。スポーツ時のマウスピース使用にも当然有効ですが、就寝時の歯ぎしりがある方には特に有効とされています。しかし歯ぎしりでデンタルマウスピースもすり減りますので、マウスピースの定期的交換が必要になります。
顎関節症の負担を軽減

口が開かない、口を開けると痛みがある、口を開けると音が鳴る症状の顎関節症の治療にもデンタルマウスピースは用いられます。以前までは比較的若い女性に多くみられる症状でしたが、最近は年代、性別を問わないで訴える方が増えてきました。噛み合わせが原因と言われてきたのですが、現在は、あご周辺の筋肉に過度な緊張、負担がかかることが大きな原因と言われています。
デンタルマウスピースを装着することで、あごや歯にかかる負担を緩和させることができますので、顎関節症の改善にも期待できます。
肩こり・頭痛

肩こりや頭痛の軽減にもデンタルマウスピースはよく使用されます。睡眠時にあごや歯に負担をかけると、肩こり・頭痛の原因になります。
目覚めた時にスッキリしない、疲労感が残っているという方は睡眠時の食いしばり、歯ぎしりの可能性を考えられ、その症状の緩和のため、つまり就寝時に歯やあごから身体に力をあまり入れさせないようにするために、デンタルマウスピースを使用して寝るようにします。
矯正治療用

矯正治療とは、歯並びや噛み合わせの問題を改善するために、歯の位置や顎の形状を調整する歯科治療の一つです。歯の位置やあごの形状を固定するために「インビザライン」というデンタルマウスピースが用いられます。
「インビザライン」は金属製のワイヤーを使った矯正装置とは違い、見た目にも透明で目立たないという特徴があるため、近年多くの審美歯科や歯列矯正を行う多くの方に人気です。
スポーツ用
主に歯に力を入れるスポーツに使用されています。ボクシングやラグビーを念頭に、最近は野球などでも利用されています。また筋力を鍛えるトレーニングにおいてもよく利用されています。
デンタルマウスピースを選ぶ際のポイント
デンタルマウスピースを選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。まず、素材は使用目的に応じて選び、アレルギーの可能性がある場合は専門家に相談することが重要です。使用目的を明確にし、それに応じた選択基準を設定しましょう。特にオーダーメイドが必要な場合は、歯科医院等の専門家に相談し、自分の口腔に最適なものを選ぶことが大切です。市販品は手軽ですが、複雑な症状にはオーダーメイドが適しています。
デンタルマウスピースの費用と購入方法
デンタルマウスピースの費用は、種類や用途によって大きく異なります。市販品は比較的安価で、1,000円から数千円程度で購入可能ですが、耐久性や効果には限界があります。一方、オーダーメイドのマウスピースは、10,000円から数十万円に及ぶことがあります。特に矯正用や医療目的のマウスピースは、精度が求められるため高額になることが多いです。購入の際には、複数のクリニックでカウンセリングを受け、費用とサービスを比較することが重要です。また、医療費控除の対象となる場合があるため、条件を確認しましょう。
まとめ
デンタルマウスピースは、歯の健康や生活の質を向上させるための重要なツールです。矯正治療や歯ぎしり防止、スポーツ時の口腔保護、さらにはいびきの軽減やホワイトニングまで、多くの用途に対応しています。適切なマウスピースを選び、正しく使用することで、日常の生活がより快適になり、口腔の健康も長く保たれます。
しかし、自分に最適なマウスピースを見つけるためには、使用目的を明確にし、信頼できる専門家のアドバイスを受けることが大切です。また、適切なケアとメンテナンスを怠らず、定期的にチェックアップを行うことで、その効果を最大限に引き出すことができます。もし、デンタルマウスピースについてさらに疑問がある場合や購入を検討している場合は、ぜひ歯科医師に相談し、自分に最適な選択肢を見つけてください。デンタルマウスピースを活用して、より健康で快適な毎日を手に入れましょう。