歯にフィットしていないマウスピースを使用すると、期待する効果が得られないばかりか、さまざまな健康トラブルの原因にもなります。マウスピースは、歯ぎしり防止や歯列矯正、スポーツ時の歯の保護など、重要な役割を果たしますが、しっかりと歯に合っていないと、逆に顎のズレや筋肉の痛み、さらには頭痛や肩こりなどの不調を引き起こすことがあります。また、フィット感が悪いと歯や歯茎に負担が集中し、歯肉炎や歯周病のリスクも高まります。
このページでは、歯に合わないマウスピースを使うことで生じるデメリットや体への影響について詳しく解説します。
歯にフィットしていないマウスピースを使う場合のデメリット
歯にフィットしていないマウスピースを使うと、さまざまなデメリットがあり、治療や保護の効果が十分に得られないだけでなく、健康や日常生活にも悪影響を及ぼします。以下に、フィットしていないマウスピースのデメリットについて、さらに詳しくわかりやすく説明します。
あごがずれる可能性
歯に合っていないマウスピースは、噛み合わせが不安定になり、あごに不自然な力がかかることがあります。このため、顎の関節が正しい位置からずれやすくなり、少しずつ顎の位置が偏ってしまうことがあります。例えば、片側に過剰な圧力がかかると、その方向に顎が引っ張られてしまい、噛み合わせがさらに悪化する原因となります。顎がずれると顔のバランスも崩れ、ひどい場合には顎関節症という顎の病気を引き起こすリスクも高まります。このような状態になると、日常的な会話や食事にも支障が出るため、早期の対応が大切です。
口内の違和感や痛み
フィットしていないマウスピースは、装着時に強い違和感を生じやすく、歯や歯茎に圧迫感や痛みが出ることがあります。特に、隙間があるとマウスピースが歯にしっかりと密着しないため、浮いている部分が口内を刺激し、歯茎や頬の内側に痛みを引き起こすこともあります。この違和感を避けようとするあまり、無意識に顎を動かしてしまうことが多く、それがさらに筋肉や関節への負担を増やしてしまう悪循環に陥ることがあります。このような状態が続くと、装着すること自体が不快になり、日常生活での快適さが損なわれることにつながります。
頭痛・肩こり・首こり
不適切なマウスピースが原因で顎や歯の筋肉に負担がかかると、その影響は頭や首、肩にまで広がります。顎は首や肩と密接に関連しているため、顎の筋肉が疲労すると、連動して首や肩の筋肉も緊張しやすくなり、結果的に頭痛や肩こり、首こりを引き起こす原因になります。特に、顎の関節にズレが生じると、首の筋肉も歪んだ状態で固定されやすくなり、慢性的な痛みや疲労感を生じることが多くなります。これにより、集中力が低下したり、日常生活でのストレスが増えるなど、体全体への悪影響が及びます。
睡眠障害
フィットしないマウスピースを装着したまま眠ると、口内の違和感や呼吸のしづらさが原因で、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。さらに、無意識のうちに口を閉じようとして歯を食いしばることや、歯ぎしりを引き起こすこともあり、これが睡眠を妨げる要因となります。十分な睡眠がとれないと、翌日の集中力が低下したり、日中に疲れを感じやすくなるため、仕事や勉強に影響が出ることもあります。睡眠が妨げられることは、健康全体に悪影響を及ぼすため、適切なフィットのマウスピースを使用することが重要です。
歯や歯茎に負担がかかる
フィットしていないマウスピースは、特定の歯や歯茎に過剰な圧力がかかりやすくなります。これにより、歯や歯茎が痛みやすくなり、歯肉炎や歯周病のリスクが高まります。特に、噛む力が偏ってかかると、歯が摩耗しやすくなり、歯の強度が低下する可能性もあります。また、歯茎にも負担がかかるため、炎症や腫れが生じ、口内の健康に悪影響を与えやすくなります。歯や歯茎に余計な負担をかけないためにも、マウスピースがしっかりとフィットしていることが必要です。
マウスピースがずれやすくなる
歯にフィットしていないマウスピースは、動きやすく、食事や会話の際に頻繁に位置を調整する必要が出てきます。このようにずれやすい状態だと、装着感が安定せず、常に気を使う必要があるため、装着すること自体がストレスになります。特に、スポーツ用のマウスピースの場合、激しい動きや衝撃に耐えられないと、歯や歯茎が傷つく原因となり、保護の効果が低下します。また、ずれた状態でマウスピースを使い続けると、さらなる違和感や口内への負担がかかることにもつながります。
口臭や衛生面の問題
フィットしていないマウスピースは、歯とマウスピースの間に隙間ができやすく、その隙間に食べかすや唾液が溜まります。この隙間は細菌が繁殖しやすい環境となり、口臭の原因になるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高めます。また、隙間が多いとマウスピース自体を清潔に保つことが難しくなり、衛生状態が悪化しやすくなります。結果として、口内環境全体が不衛生になりやすいため、マウスピースの適切なフィットは非常に重要です。
自分の歯にフィットしたマウスピースを選ぶ方法や大事なポイント
自分の歯にしっかりフィットするマウスピースを選ぶことは、快適に使用し、十分な効果を得るためにとても重要です。マウスピースの選び方は用途や目的によって異なるため、まずは自分の目的をはっきりさせることが大切です。また、できるだけ自分の歯にぴったり合ったものを選ぶために、以下のポイントを押さえましょう。
使用目的に合ったマウスピースの種類を選ぶ
マウスピースにはさまざまな用途があり、それぞれに合ったタイプが用意されています。用途に応じた正しいマウスピースを選ぶことは、効果を得るために必要不可欠です。主な用途としては、歯列矯正、歯ぎしり防止、スポーツでの保護が挙げられます。
歯列矯正用
歯並びを整えるために使用する透明なマウスピース(インビザラインなど)があります。これは歯科医が歯型を取り、個別に製作したオーダーメイドのものが一般的で、しっかりと歯にフィットするため矯正効果が高いです。
歯ぎしり防止用
夜間に歯ぎしりや食いしばりを防ぐ「ナイトガード」というマウスピースです。これも歯科医でのオーダーメイドが推奨され、夜間の摩耗や圧力から歯を守ります。素材は硬めで耐久性が高く、歯をしっかり保護します。
スポーツ用
運動時の衝撃から歯や顎を守るために使います。こちらは厚めで丈夫な素材が使われており、口の中でずれにくいように設計されています。スポーツ用のものはスポーツショップで市販されているものもありますが、フィット感を求める場合は歯科医でのオーダーメイドが安心です。
歯科医でオーダーメイドする
フィット感と効果を最大限に引き出したい場合は、歯科医院でのオーダーメイドが最も確実です。歯科医が専門的に歯型を取って製作するため、既製品に比べてぴったりと歯にフィットし、違和感が少なく、長期間の使用にも適しています。
歯型取りの精度
歯科医で行う歯型取りは非常に精密で、歯の形や噛み合わせの位置をしっかりと把握します。これにより、自分の歯の形にぴったりと合ったマウスピースが作られるため、装着時にほとんど違和感がありません。
定期的なチェックと調整
オーダーメイドのマウスピースは、使用しているうちに劣化や変形が見られることもあります。歯科医で定期的にフィット具合をチェックしてもらうことで、必要な場合は微調整を加えてもらえ、快適さと効果を長期間保つことができます。
自宅で調整可能なタイプ(ボイル&バイト)を選ぶ
もし手軽にマウスピースを試してみたい場合は、自宅で簡単に調整できる「ボイル&バイト」タイプのマウスピースが便利です。これは熱湯でマウスピースを柔らかくしてから歯に合わせてフィットさせる方法で、市販されています。
調整方法
まず熱湯でマウスピースを柔らかくした後、すぐに口に入れて歯を軽く噛んで自分の歯型に合わせます。冷えると固まって形が固定されるため、比較的簡単にフィット感を調整できます。ただし、加熱しすぎると変形しやすいため、説明書に記載の温度や時間をしっかり確認して調整しましょう。
適応の確認
調整してみても装着時に強い違和感がある場合や、しっかりフィットしていないと感じる場合は、歯科医で適切なサイズや形状のものを作ってもらうのが良いです。このタイプは手軽に使えますが、ぴったりのフィット感を求めるなら歯科医でのオーダーメイドが理想です。
マウスピースの素材に注目する
マウスピースの素材も重要なポイントです。素材によって耐久性や使用感が異なるため、自分の使用頻度や目的に合ったものを選ぶことが必要です。
ソフトタイプ
歯ぎしり防止用によく使われる、柔らかい素材で作られたマウスピースです。装着感が良く、初心者でも違和感を感じにくいですが、長期間使用するとすり減りやすく、頻繁に交換が必要です。
ハードタイプ
歯列矯正やナイトガード用として使われることが多く、硬めの素材で耐久性が高いです。歯をしっかりとサポートするため、フィットが悪いと違和感が強くなることがありますが、長期間使用できます。
装着後のフィット感と快適さを確認する
マウスピースを装着したら、違和感や痛みがないか、しっかりフィットしているかを確認しましょう。特に市販のマウスピースの場合、装着してみてから口内に圧迫感やズレがないか、慎重に確認することが大切です。
フィット感の確認
装着した状態で軽く噛み合わせてみて、ずれや浮きがないか、噛むときに歯が不自然に当たる箇所がないかをチェックしましょう。もし違和感や痛みがある場合は、無理に使わず、歯科医に相談して調整や別のマウスピースを検討することが重要です。
長時間装着しても快適か
マウスピースを長時間装着しても違和感がなく、顎や歯に痛みが出ないかを確認しましょう。少しの違和感は慣れる場合もありますが、痛みが続くときはフィットしていない可能性が高いです。歯科医に調整を依頼するか、新しいものを作成してもらいましょう。
定期的なメンテナンスと衛生管理を行う
マウスピースは使用するうちに摩耗や変形が生じ、歯に合わなくなることもあります。また、口内の細菌が付着しやすいため、使用後の清潔さを保つことも重要です。
定期的な歯科医でのチェック
定期的に歯科医でフィット具合を確認し、必要に応じて調整してもらうことで、常に快適な状態を保つことができます。また、マウスピースの耐久性も確認してもらい、劣化が見られる場合には新しいものに交換しましょう。
清潔に保つ
マウスピースは使った後に水で丁寧に洗浄し、清潔を保つようにしましょう。専用の洗浄剤やブラシを使用することで、細菌の繁殖や口臭の発生を防げます。使用後は清潔なケースに入れて保管し、定期的にケースも洗浄することが大切です。
まとめ
歯にフィットしていないマウスピースを使用することは、予想以上に多くのリスクを伴います。適切にフィットしていないマウスピースは、顎のズレや歯茎の負担を引き起こし、さらに肩こりや頭痛、睡眠の質の低下など、体全体にも悪影響を及ぼします。効果を十分に引き出すためには、自分の歯にしっかり合ったマウスピースを選び、装着後も違和感や不調がないか注意深く確認したり、必要に応じて専門家による調整を受けるようにしましょう。健康を守り、快適な日常生活をサポートするためにも、自分に合ったマウスピースの選択が大切です。