デンタルマウスピースは、さまざまな用途に応じて設計された口腔内装置で、その素材は用途によって異なります。矯正治療、歯ぎしり防止、スポーツ時の保護、ホワイトニングなど、各目的に最適な素材が選ばれ、個々の役割に応じた性能が発揮されます。このページではデンタルマウスピースの各素材について、その特性や用途に基づく選び方をご紹介していきます。
マウスピースの製造に使われている主な素材
マウスピースの製造に使用されている素材は主に4つあります。
ポリウレタン
口腔内の症状でデンタルマウスピースを用いた治療をする際、歯科医院で作成するデンタルマウスピースの素材はポリウレタンの素材です。歯型に合わせて作成され、多少弾力性があるものの、原型をとどめるほどの硬さなのが特徴です。
これに対し、審美歯科や矯正歯科で歯列矯正用に開発されたマウスピースをインビザラインと言いますが、インビザラインの素材にも使用されます。
スマートトラック
2013年以降主にインビザラインの素材として「スマートトラック」という新しい特殊な素材が開発されました。スマートトラックも厳密にはポリウレタン製の素材にはなるのですが、ポリウレタン本来の特徴とは違うため、別の素材という風に説明させていただきます。スマートトラックで作られたインビザラインは、以下のような特徴を持っています。
高い柔軟性と弾力性
スマートトラックは柔軟性と弾力性に優れているため、歯にかかる圧力が一定に保たれ、スムーズに歯が動くよう設計されています。この特性によって、歯にかかる圧力が均一化し、効率的な移動が可能です。
装着時の快適さ
従来の素材よりも適応性が高く、歯にぴったりとフィットするため、装着時の違和感が少ないのが特徴です。これにより、装着中も快適さが維持され、装着時間が長くても不快感を感じにくくなっています。
透明度の高さ
スマートトラックは透明度が高く、目立ちにくい素材です。矯正中も見た目の自然さが保たれるため、日常生活での外見を気にせずに過ごすことができます。
耐久性と形状保持力
スマートトラックは、歯の移動に必要な力を持続的に発揮するため、アライナーの形状を保持しやすく、長期間の使用でも変形しにくいという特長があります。
シリコン
歯ぎしり対策、いびき防止、ホワイトニングなどを目的として市販で販売されているデンタルマウスピースは、主にシリコンで製造されています。シリコンは人体には無害と言われており、医療、食品、化粧品、美容関係でも幅広く使われています。ポリウレタンで作られたものと大きく違う点は、ポリウレタンが基本的に固い素材であるのに対し、シリコン製は手で曲げられるくらい柔らかい形状であることです。
エチレンビニルアセテート
シリコン同様歯ぎしり防止用のナイトガード製品としてエチレンビニルアセテートは使用されていますが、素材の特徴として弾力性が高く、歯にかかる力を分散するという利点からスポーツ選手用のマウスピースにも多く用いられています。
まとめ
治療で用いられるマウスピースは基本的には透明、または半透明のものが大半です。歯科医院で作成されたマウスピースは基本的に歯型をとって、その人にあった形で歯列にはまるように作られていますので、柔軟性は少なく、反対に市販されているデンタルマウスピースはどんな方の歯型にも合うように柔軟性を持たせた柔らかさが特徴です。どちらにせよ、口の中に直接入れて用いられるマウスピースは安全性が求められますが、どちらの素材も人体には無害と言われている素材ですので、安心してご使用いただけます。